根岸の部屋

備忘録がてらに将棋(主にソフトとか角交換四間飛車とか)について書き殴ってます。棋力は絶賛伸び悩み中\(^0^)/ Twitter→@39th_theory

角交換四間飛車対▲7七角型銀冠対策①

初形より、

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4二飛 ▲2五歩 △6二玉
▲6八玉 △8八角成 ▲同 銀 △7二玉 ▲4八銀 △2二銀
▲7八玉 △3三銀 ▲9六歩 △9四歩 ▲5八金右 △2二飛(第一図)

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 上図は角交換四間飛車でよくありそうな図。

 対角交換四間飛車の作戦としてやや増えてきたのが、下図のように▲7七角と早めに打つものだ。居飛車としては△2二飛と飛車がこの角のラインに入ったのをみてから打つのがよさそうだ。

第一図以下、▲7七角(第二図)

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 居飛車の狙いはこの角で振り飛車の攻め駒の働きを抑え、持久戦にしてからじっくりと銀冠に組んでいこうというもの。確かにこの角のラインのより、△2四歩や△4四銀~△3五歩のような動きが消されている。現状振り飛車から動く手がないとなると駒組みを進めることになるが、その場合想定される進行の一例が以下。

第二図以下、△8二玉 ▲8六歩 △7二銀 ▲8七銀 △5二金左
▲4六歩 △6四歩 ▲4七銀 △6三金 ▲8八玉 △7四歩
▲7八金(第三図)

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 それぞれ、銀冠と髙美濃に囲いを進展させるが、居飛車の陣形のほうがのびのびしている印象を受ける。振り飛車は囲う手ぐらいしか有効手がないが、居飛車は左辺の囲いを進めても右辺の攻撃陣を整えてもよさそうである。振り飛車も攻撃陣に手をかけたいが、△4四銀は▲4五歩ですぐ追い返されて手損になるし、またこの銀が動けないと左桂を使えない。

第三図以下、△7三桂 ▲3六歩 △8四歩 ▲3七桂 △8三銀
▲5六銀 △7二金(第四図)

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 さらに進めてみて第四図。ここまでくると実戦的に居飛車持ちたい人が多いと思う。振り飛車は囲いは銀冠でほぼ完成したが、これ以上指せる手が少なくなってきており陣形が飽和状態となりつつある。2二の飛が動くと▲4五桂があるため動こうにも動けないし、何かで一歩を渡すと▲3五歩△同歩▲3四歩の狙いがある。

 一方居飛車はここから穴熊に組み替える選択肢もあるし、隙あらば仕掛けを見せていってもよさそうだ。居飛車が後手なら千日手も十分狙える。場合によっては▲1五歩△同歩▲同香と無理矢理一歩を得て▲3四歩を狙うのも考えられる。

 この第4図、ソフト氏的には良い勝負らしいのだが、私としては振り飛車持ちたくない。理由は居飛車のほうが指し手が手広く、主導権も握れそうだからである。逆に振り飛車側をもって主導権を握るのは上記のように困難である。

 イメージとしては、居飛車側は常に70点以上の手が複数あるのに対し、振り飛車は一つか二つだけ90点以上の手があるが、それ以外は50点未満ばかりといった感じ。要は振り飛車が勝ちにくい。

 以上が▲7七角と打った手の基本的な狙い。ここまで述べた通りのように進んでしまうとだいたい居飛車の思うつぼだとおもう。なんとかならないだろうか。

 

 そこで局面を巻き戻して振り飛車の手を改良してみる。

第二図以下、△4四銀(第五図)

▲4六歩 △3三桂 ▲4七銀 △2一飛(第六図)

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 ▲7七角に反応して直ちに△4四銀と上がる。続く▲4六歩に△3三桂として▲4五歩を防ぐ。これで先程までは組めなかった4四銀・3三桂型に組める。さらに桂馬がはねたため△2一飛と引くことで味良く飛車も角のラインから逃すことができる。

 手順中もし後手が余計な手を挟んでしまうと、第六図に先手に▲5六銀の一手が入ってしまう感情になり、▲4五歩があるためまずい。そのため第二図の角打ちに反応してすぐに△4四銀が肝要となる。

第六図以下、▲5六銀 △3二金 ▲8六歩 △8二玉 ▲8七銀 △7二銀
▲8八玉 △5四歩 ▲7八金(第七図)

 

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 ▲5六銀と上がってくるのは、先述の通り▲4五歩の狙いがあるので△3二金と上がりこれを受ける。ここは△4二金も考えられるが筆者は前者をおすすめする。金が玉から離れてしまい囲いが薄くなっているのがデメリットなのだが、変えて二筋をカバーできるようになる。その具体的な効果はのちほど。

 居飛車は銀冠、振り飛車は片美濃に囲うまではお互いこう進むところだろう。

第七図以下、△8四歩 ▲3六歩 △8三銀
▲3七桂 △7二金 ▲1六歩(第八図)

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 振り飛車はここからさらに片銀冠に組み替える。これを怠ると逆に▲8五歩と伸ばされ、玉頭の制空権を確保されてしまう。こうなってしまうと、たとえここから上手く動いて互角や作戦勝ち、あるいは有利になったとしても終盤勝負になった際に居飛車側だけ一方的に玉頭攻めの権利を有することになるため、実戦的に振り飛車つらい。

 ただし、片銀冠に組んだとしても振り飛車側は居飛車の金銀三枚の銀冠と同じかそれ以上の堅さを手にすることは困難だ。これが△3二金(△4二金でも)と上がらせた▲7七角システム側の主張と言えるだろう。

 とはいえ、▲6八金右とさらにかためるのは△5九角(この形に限らず角交換振り飛車の常套手段)の隙が出来るためすぐにはやりにくい。▲1六歩と様子をみて第八図。囲いの差で劣る後手はどうするのか。

第八図以下、△5三銀 ▲1五歩 △6四銀(第九図)

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 まず△5三銀と引き、△6四銀の活用をねらう。こうして銀を囲いに近づけ、攻防ともに働くようにする。こうなると7七の角は目標を失い、逆に攻めの目標とされている感じだ。振り飛車は後に△5一飛と展開し、△5五歩~△6五銀~△5六歩などを狙うイメージ。この△5一飛が可能になるのが先程△3二金として2筋をカバーした効果。積極的に攻めていく展開になりそうで、当初懸念されていた主導権を握られる展開になることは回避している。

 こうなれば7七角型銀冠は大して怖くない。

 

※もう少しだけ続く。

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