今更書いてみた将棋フリーソフト「技巧2」導入法
将棋ソフトの導入の仕方について書きたいと思う。
SDT5も近くなってきたこのタイミングでこれを書くというのもすこぶる筋悪な気がするが、自分の周りの人たちからは未だに「ソフトをどうすれば使えるのか分からん」という声がしばしば聞かれる。”ソフトなんか使わないよ”というタイプの方はともかく、使いたいという意志があるのに使えない方がいるのはよろしくないだろう。そこで、ここではWindowsのPCにおける将棋フリーソフト「技巧2」の導入の仕方を書いてみる。
そしてこの記事は、
・初めてここ最近の将棋フリーソフト(激指など市販のもの、Bonanzaなどの一定以上古いものではなく)を使おうと思った
・将棋フリーソフトを導入しようと考えたができなかった、あるいはやり方が分からなかった
などといった方々を対象として想定している。
なお、筆者はこの記事の内容を保証しません。導入は自己責任でお願いいたします。
また、この記事を読んでもやはり分からないという方は、各ソフト・アプリのサイト等をご覧になってほしい。
・ShogiGUI本家様のサイト
・技巧2のgithub
https://github.com/gikou-official/Gikou
ここからしばらく淡々と解説パート。
- 0.ソフトの利用が環境の確認
- 1.必要なアイテムをダウンロード
- 2.ダウンロードしたアイテムを解凍・配置する
- 3.ShogiGUIを開く
- 4.ShogiGUIに技巧2を登録する
- 5.対局・検討などで技巧2を使用する。
0.ソフトの利用が環境の確認
この記事の内容だが、お使いのPCがWindows7以降の64bit版であることが条件となる。Windows7以降かどうかはおわかりになるか思うが、64bit版かどうかは分からない方がいるかもしれない。これを調べる一例を挙げよう。
多分スタートボタンが画面にあるかと思うので、これを右クリック。更に「システム」を選ぶ。表示されるウィンドウの”システムの種類”という項目でbit数を確認できる。これが64bitではない方は、残念ながら以下の方法ではソフトを利用できないと思われる。
もし32bitだったと言う方は、調べれば32bit用のソフトが出てくると思うのでそちらの利用を検討してみてほしい。
それでも自分のPCの環境がなんなのか分からないという方のための参考サイト↓
リコー | パソコンの OS とビット数の確認方法 (Windows XP/Vista/7/8/8.1/10)
1.必要なアイテムをダウンロード
ソフトを使えるようにするために必要なアイテムをダウンロードをしておく。
ソフト本体(エンジン)とGUIの二種類が最低でも必要となる。エンジン(ソフト)単体だけではこれを利用することができないのだが、GUIというアプリを組み合わせるとこのエンジンを使うことが出来る。ここではエンジンは「技巧2」、GUIは「ShogiGUI」を使ってみる。
それぞれのリンク先はこちら。
技巧2
https://github.com/gikou-official/Gikou/releases
ShogiGUI
http://shogigui.siganus.com/download.html
技巧2は、「技巧2(Windows版 v2.0.2)(最新)」という項の「Downloads」→「gikou2_win.zip」とクリックするとダウンロードが開始される。
ShogiGUIは、2017/6/21 ver 0.0.6.11が最新版(執筆時)なのでこれをダウンロード。
インストーラ版とzip版とあり、どちらでも構わないがここではzip版として解説を進める。とはいえインストーラ版でも方法が大きく変わることはないだろう。
2.ダウンロードしたアイテムを解凍・配置する
ShogiGUIや技巧をダウンロードしたので、これらを使えるように配置する。ここでは仮に、デスクトップ上にこれらを置いてみることにしよう。もちろんデスクトップに置くのは邪魔になるので嫌だという方は任意の場所に変えても構わない。
まずは1でダウンロードしたShogiGUIを解凍する。zipファイルになっているので、右クリックして「解凍」とか「展開」などという項目を選ぶと解凍(展開)できると思われる。
※コンピュータ将棋関連のファイルを解凍するアプリとしては7-zipなど7z形式に対応しているものがおすすめできる。なぜならコンピュータ将棋関連のファイルはアップロードされる際に圧縮されていることがほとんどなのだが、その圧縮形式にはzip形式のほかに7z形式になっているものが多いからだ。
解凍されたShogiGUIのフォルダ(ShogiGUIv0.0.6.11などという名前のはず)をデスクトップに配置してみる。
これの中には、「ShogiGUI.exe」という名前のアプリがあるはずである。これのショートカットをデスクトップ上に置いておくと便利かもしれない。
また、技巧2の入った「gikou2_win.zip」を任意の場所に解凍する。中にはいろいろな種類のファイルが入っている。どれも必要なものなので、邪魔にならない適当な場所にフォルダを作ってその中にまとめて置いて保存するなどするとよい。
↑解凍後の中身はこんな感じ。
3.ShogiGUIを開く
例のShogiGUIが既に使える状態になっているはずなので、これ(ShogiGUI.exe)を開いてみる。
ShogiGUIにはデフォルトでGPS将棋というソフトが入っており、直ちにこれを対局、検討などで使うことが可能だ。このGPSだけでも十分に強い(ほとんどの人間が互角以上に戦うのが困難なレベル)のだが、これから導入する技巧2はこのGPSを遥かに凌ぐ強さである。
なお、ShogiGUIの詳しい使い方は上記のShogiGUI本家様のサイトなどを参照していただきたい。
4.ShogiGUIに技巧2を登録する
ShogiGUIに技巧2を登録することで、技巧をShogiGUIで動かすことができるようになる。
ShogiGUIのメニューから「ツール」→「エンジン設定」を選ぶとダイアログ(ウィンドウのようなもの)がでてくる。これをみると、既にGPSが登録されていることがわかる。
先に述べた、デフォルトで入っているGPSとは実はこれらのことである。このように登録されたソフトを対局・検討などのために動かすことができるようになるのだ。では、技巧2も同じように登録していこう。
このダイアログにある「追加」ボタンを押すと、また新たなダイアログがでてくる。
ここの画面で、先程解凍・保存した技巧2のファイルたちがおいてあるフォルダを選択し、そこまで移動する。
このように「gikou.exe」というファイルがあるだろう。これが技巧2の本体のエンジンである。これを選択し、ダイアログの「開く」ボタンを押す。
ここで「エンジン設定」というダイアログが出現すれば成功。
ここで各項目の数値などをいじると技巧2の設定を変更できるのだが、やや難しい内容になるので今回の解説は見送ろうと思う。そのまま「OK」を押せば登録・設定は完了である。設定はあとからでも変更できる後回しでもよい。
ただし、非常に重要な項目を2つほど解説しておこう。面倒ならひとまずここは飛ばしてもよい。
まずは「Threads」(スレッド数)。デフォルトでは4に設定されている。簡単にいうとPCの演算能力の中からどれだけの量をソフトの思考に充てるかという項目だ。
多ければ多いほど早く探索(読むこと)ができるので有利だが、そのぶんPCが重くなり、同時に他の作業をするのが難しくなるなどの弊害がある。また、この値は無尽蔵に増やせばよいという訳ではなく、それぞれの環境ごとに上限がある。PCに内蔵されるCPUは当然有限だからだ。
一般的な最近のノートパソコンであれば、内蔵されているスレッドの数は4や8が多い。例えば4スレッドのPCで2スレッドに設定したソフトを動かせばCPUの50%を使用して探索(読む)する。PCのスペックを調べ、そのうちいくつのスレッドをソフトに割り振るかを各自で考えて「エンジン設定」から「Thread」の項目に適当な値を入れるとよい。
次は「OwnBook」だ。デフォルトではTrue(チェックが入っている状態)になっているだろう。これは内部定跡の使用するか否かを設定する項目だ。True、つまりチェックを入れれば定跡を使用し、False、つまりチェックを外せば使用しない。
技巧2に標準搭載されている定跡は「まふ定跡」というもので、非常に優れた定跡である。Ponanza Chainerがelmoに敗北する要素の一つにもなったほどである。その優秀性の解説は他に譲るが、ユーザーにとっては定跡onになっているのが弊害をうむ恐れがある。
繰り返すが、この定跡はとても優秀である。非常に広い局面までカバーされており、登録手は250万手以上になるらしい。だが定跡の範囲内の局面を探索させても、定跡使用がオンの設定だとソフトは探索せず、評価値も読み筋も返してこないのだ。検討などでこれらを知りたいユーザーにとっては定跡が邪魔だと思うかもしれない。
そのような方はこの「OwnBook」のチェックを外すことで定跡不使用にさせ、読み筋や評価値などを調べることができるようになる。逆に定跡があったほうが好都合だという方はチェックをいれたままでも構わない。
5.対局・検討などで技巧2を使用する。
4で技巧2をShogiGUIで使用する環境は整った。実際に技巧2を使用してみよう。なお、ShogiGUI本家サイト(上記)の使い方の解説のほうがはるかに丁寧なので、ぜひそちらを読んでいただきたい。
メニューから「対局」を選ぶと対局ダイアログがでてくる。
先手(後手)の中に対局者を選択する項目があるので、「Gikou 2」を選択する。もう片方の対局者で「あなた」つまり人間を選べば技巧2と対局が可能である。
技巧2にはフリーソフトとしては非常に多くの機能が搭載されており、強さの調整や指させる戦型を指定させることができる。ここでは具体的なやり方は解説しないが、これらで遊んでみるのも面白いかもしれない。
対局の他の主要な使い方には検討モードがある(というかこちらで使う人のほうが多そう)。ユーザーが盤上に任意の指し手を示し、それに検討ソフトが評価値や読み筋を返してくるモードだ。
メニューから「検討」を選ぶと検討ダイアログがでてくる。
使用ソフトに技巧2を選ぶ。
※任意で「候補手の数」をいじってもよい。これを多くすると検討時に表示される候補手も増える。つまり一度により多くの手を読んでそれを表示する。ただしその分ソフトも多くの分岐の読むことになり、一手あたりの探索が浅くなるので多すぎるのも考えものである。お好みでどうぞ。
これで「検討開始」を押すと検討が始まる。対局後の反省や研究などに用いるとよいだろう。
さて、これで技巧の導入と簡単な使い方までの解説は終了である。お役に立てていただければ幸いである。
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