根岸の部屋

備忘録がてらに将棋(主にソフトとか角交換四間飛車とか)について書き殴ってます。棋力は絶賛伸び悩み中\(^0^)/ Twitter→@39th_theory

角道オープン四間飛車の相振り飛車・その1

 ▲7六歩△3四歩▲6八飛のオープニングからの相振り飛車を調べてみる。ここでは△4四歩と角道を止める、比較的穏やかなタイプの相振りをみていこう。

 

【対角道クローズ振り飛車①・美濃囲い強襲の基本的な狙い】

初手より、

▲7六歩 △3四歩 ▲6八飛 △4四歩(第一図)

f:id:Negishi_Shinya:20180224032511p:plain

 三手目▲6八飛を見て角道を止める。後手も相振り飛車にするなら他にも△3二飛、△3五歩、△2四歩、△4二飛などが考えられるが、△4四歩は最も乱戦や特殊な戦型になるのを避けた無難な手といえる。

 さて、次の先手の指し手も複数の候補が挙げられる。▲7八飛や▲7五歩もあり、これは先手向かい飛車対後手三間飛車のよくある相振りと先後入れ替わった同一局面に合流することが想定される。無論こちらも有力で、私自身も以前はよくこの指し方をしていたのだが・・・。

 

第一図以下、

▲6六歩(第二図)

 f:id:Negishi_Shinya:20180224032522p:plain

 最近の私はもっぱらこちらばかり選んで指している。この手自体は門倉五段著の「角交換四間飛車必勝ガイド」で推奨されているものである。

 私がこちらに乗り変えた理由は、①先手の利をあまり生かせていない気がしたこと、②特に相手が3手目▲6六歩党の場合、相手の得意形に誘導されやすい、③そもそも当時の私は3手目▲6六歩対策として三間飛車をあまり使っていなかったので戦型選択に矛盾が生じる、といったところである。

 という訳で、先手の得を精一杯生かした作戦が欲しい、と思い至った。そこでたどり着いたのがこの▲6六歩だった。具体的にどうしていくのだろうか。

 

第二図以下、

△4二銀 ▲6五歩 △4三銀 ▲7八銀 △3二飛 ▲4八玉 △6二玉(第三図)

f:id:Negishi_Shinya:20180224032619p:plain

 先手は直ちに▲6五歩と伸ばしていく。相手の角道が止まっているが故に可能な手で、もし空いていたらおいそれとは突きにくい。これでどこかで▲6四歩と突いて一歩を手持ちにしようという狙いだ。そしてこの点をアピールポイントにしていくのが先手四間飛車側の大筋の方針である。

 後手の飛車の振り場所はいろいろ考えられる。向かい、三間、四間どれもありそうだ。ただし、四間は後々三間か向かい飛車に振り直すことが多く、手損になるかもしれない。また、単に△3二飛とか△3三角~△2二飛とするのは、▲6四歩△同歩▲同飛から▲4四飛を狙っていく含みが生じて損になる。(参考図1)

f:id:Negishi_Shinya:20180224034201p:plain

 これを防ぐために4四に利きを足す必要がある。それにはあらかじめ△4二飛としておくか△4三銀とあがるくらいだ。前者は先に述べたとおり手損になりやすいので、後者について調べてみよう。ここから後手は三間か向かいに振っていくことになる。ひとまず、後手の方針が分かりやすい三間飛車を調べてみよう。石田流に組んで攻撃的な構えを目指したり、浮き飛車から飛車の横利きを受けに使ったりできるなど、比較的人気が高い対策だ。

 

第三図以下、

▲6四歩 △同 歩 ▲同 飛 △6三歩 ▲6八飛(第四図)

f:id:Negishi_Shinya:20180224032647p:plain

 第三図指了図の△6二玉に対して▲6四歩と交換する。この局面の場合は6二玉型のときでなくとも歩交換できるが、もし相手が△5四銀と繰り出してきていた場合、6二玉型でないと歩交換は成立しない。▲6四歩△同歩▲同飛に△6五歩と飛車を閉じ込められてしまう(参考図2)。6二玉型なら▲6四同飛が王手になるので大丈夫という仕組みだ。基本的には△6二玉とされたらその瞬間6筋交換してしまって問題ないだろう。

f:id:Negishi_Shinya:20180224034223p:plain

 このように、6筋の歩交換が成立しないケースが存在する。煩雑さを避け確実に歩交換するのなら、もっと早い段階で▲6四歩を決行してしまうのは考えられる(参考図3、4)。ただし、これはこれで後手に居飛車のまま戦うとか、歩交換の瞬間△6二飛とされる選択肢を与えるといったデメリットもある。私はこれを嫌って6筋交換のタイミングをここまで遅らせる指し方をしているが、別に上記のようにされてもあまり嫌ではない・どうしても確実に歩交換したいというのなら、早めに歩交換してもそれはそれで一局なのでさほど大きな問題はないだろう。お好みでどうぞ。

f:id:Negishi_Shinya:20180224034235p:plainf:id:Negishi_Shinya:20180224034240p:plain

 歩交換された後手は△6三歩と収めるのがふつう。飛車は6八に逃げておく。

 

第四図以下、

△7二銀 ▲3八銀 △7一玉 ▲3九玉 △3五歩 ▲6七銀 △5二金左 ▲5六銀 △3六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲3七歩 △3四飛(第五図)

f:id:Negishi_Shinya:20180224032706p:plain

 ここから後手は美濃囲いにする例がかなり多い。仮に金無双だと弱点の6三の地点が、相手が四間飛車のため攻められやすそうだ。穴熊も手数がかかるため選びにくい。

 対する先手も美濃にするのがよい。相振りでの美濃は囲いの堅さと構築に要する手数のバランスに優れる。6筋交換にかなり手数を費やしてしまっている先手としては、手早く組める美濃囲いが最も戦いやすい。玉の位置は(少なくとも当分は)3九がよいだろう。2八では当たりが強くなるし、手が遅れ気味なのでなるべく自陣に手をかけたくはない。

  先手はさらに左銀を活用するべく繰り出していく。後手も3筋交換し浮き飛車へ。ここで▲4五銀では△3二飛ぐらいで大したことはなく、以下▲5六銀△3四飛で千日手模様。

 

第五図以下、

▲7五歩 △3三桂 (第六図)

f:id:Negishi_Shinya:20180224032716p:plain

 ▲7五歩が美濃囲い攻略にむけた手。いつでも▲7四歩と突っかける手をみせている。また、場合によっては三間への振り直しもみせている。

 後手は普通に△3三桂とする。このあたりで先手は具体的な形を示す必要がある。

 

【上部から攻め潰す・6五銀型】

第六図以下、

▲6五銀 △1四歩 ▲5八金左 △1三角 ▲7四歩 △同 歩 ▲5五角 (第七図) 

f:id:Negishi_Shinya:20180224032728p:plain

 ▲6五銀が▲7五歩から継続した狙いで、四間飛車で6筋を切ったのを生かしている。この位置に銀が居座っているのは相手としてもプレッシャーになりそうだ。

 譜のように後手が何もしてこなければ、▲7四歩~▲5五角が非常に厳しい攻めだ。この角出自体はこの戦型以外の相振り飛車でもよくみられる攻めである。そして、後手はすでに受けがむずかしい。

 

第七図以下、

△7三銀 ▲同角成 △同 桂 ▲7四銀 △7二金 ▲7八飛 (第八図)

f:id:Negishi_Shinya:20180224032740p:plain

 ここで△7三桂とだと▲7四銀△6二金上▲7八飛。△7三銀でも角を切っていけば攻めが繋がる。△7二金に代えて△7二歩には▲6三銀成とこちらを食い破る。以下△同銀▲同飛成△6二歩▲6八竜(参考図5)と引き上げておいて先手よし、△6二玉には▲6四歩△同歩▲7五銀(参考図6)と被せていって好調。自玉の美濃囲いが心強い展開だ。

f:id:Negishi_Shinya:20180224034303p:plainf:id:Negishi_Shinya:20180224034306p:plain

 △7二金に対しても、▲7八飛と寄って駒数を足すのが味良い。

 

第八図以下、

△7七歩 ▲同 飛 △8八角 ▲7三銀成 △7七角成 ▲7二成銀 △同 玉 ▲7七桂 (第九図)

f:id:Negishi_Shinya:20180224032751p:plain

 △7七歩と叩いて飛車に働きかけてみるも、第九図まで進んでみると攻めは大成功だ。左桂まで使えて全軍躍動である。自陣は相も変わらず鉄壁であり、何の憂いも無い。

 

【今回のまとめ】

 ご覧いただいたとおり、先手の四間飛車はかなりの攻撃力を秘めている。美濃に手早く囲い、▲7五歩~▲6五銀の圧力で盤面左上方面を制圧する形はうまくいけばそのままゲームセットまでもっていけるパワーがある。とくに▲7四歩から▲5五角は隙があれば是非狙っていただきたい、おすすめできる攻め筋だ。

 

 ただしこの▲6五銀型、いいことばかりではない。決まったときの破壊力はすさまじいのだが、残念ながらこの筋一本槍で上手くいくほど単純ではないのである。

 後手の正しい対応策、そしてそれに対する先手の新たなる作戦は・・・。

 その2に続く。