根岸の部屋

管理人の備忘録がてらに将棋について書き殴ってます。棋力は絶賛伸び悩み中\(^0^)/

KKS小ネタ② KKS拒否型対策・自己流振り飛車穴熊

 研究と呼べるほどではなく、既出かもしれないので小ネタとしてカテゴライズした上で執筆・紹介してみる。

 角交換四間飛車が出始めのころ、これをやられるのを嫌がる居飛車党の一部が使っていたのが以下の手順。

 

初形から、
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4二飛 ▲4八銀 △6二玉 ▲6六歩 (第一図)

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 ▲6六歩と角道をとめて角交換を拒否し、相手のペースで戦われるのを拒否する指し方である。一旦▲4八銀と上がってから角道を止めるのが重要で、これを省略して▲6六歩と止めると△4四歩▲4八銀△4五歩で後手の飛車先交換が受からなくなる。▲4八銀△6二玉の交換が入った本譜なら、同様に進んだとき▲5六歩~▲5七銀で受かる。私も昔よくやられた作戦だ。

 この形には既に振り飛車にから見て有力な対策がいくつか見つかっている。居飛車の角交換四間飛車対策が進歩したこともあり、敢えて振り飛車不満なしになりやすいこの形を選ぶ居飛車党は少なくなっているが、それでもいまだに一部では指し続けられている。

 本稿では、このKKS拒否型に対する振り飛車の対抗策をもうひとつ挙げてみる。従来型と比べて特段優秀な手法というわけでもないが・・・。ただ、私が使っている限りでは勝率は非常に高く、実戦的にも結構勝ちやすいと思っている。

 

第一図以下、

△7二玉 ▲6八玉 △8二玉 ▲7八玉 △4四歩
▲2五歩 △3三角 ▲5六歩 △4五歩 ▲5七銀 △3二銀
▲5八金右 △4三銀 ▲7七角 (第二図)

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 振り飛車は平凡に玉を右に移動させ、角道を止める。通常のノーマル四間飛車のようだが、居飛車の角道が既に止まっているため△4四歩~△4五歩と伸ばしていけるのが主張。これを生かしていけるような駒組みを目指していきたいところであるが。

 最終手▲7七角の次の一手がその骨格となる。

 

第二図以下、

△9二香(第三図)

 

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 振り飛車穴熊を目指すのが私流の指し方。ついさっき“居飛車の角道が止まっているのを生かしたい”と書いたばかりだが、果たしてこの指し方でそれを達成できるのか。

 

 さて、居飛車は▲6六歩としてしまっている以上持久戦にすることになる。ただし銀冠穴熊やミレニアムはこの歩との相性が悪そう。となると残された主な有力策は銀冠か居飛車穴熊となる。

 そのうち銀冠を選んだ場合、従来からある四間飛車穴熊居飛車銀冠と同じ形へと合流することになる。ただしこの戦型では、銀冠側が▲6六歩と止める手を保留して戦うのが有力とされているのだが、本譜の場合既に▲6六歩としてしまっているためそれを選べない。

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 参考図は進行の一例だが、振り飛車は△4五歩~△4四銀と好形に組んで十分主張のある形だろう。△4四銀型は攻撃力が高く、ノーマル四間飛車の理想型のひとつとしてよく知られており、四間飛車穴熊でもそれは例外ではない。ちなみに、これに簡単に組まれないようにするのが▲6六歩保留の構想だった(保留していれば△4五歩のとき▲3三角成で良し)。

 以下の展開は既に多くの書籍で解説がなされているので割愛する。広瀬章人八段著の「四間飛車穴熊の急所(1)」(浅川書房)、佐藤秀司七段著の「とっておきの穴熊退治」(マイナビ)などが詳しいだろう。

 

 さて、続いては居飛車穴熊の場合だ。実戦ではこちらを目指されることのほうが多く、本記事もこちらの解説が主である。

 

第三図以下、

▲8八玉 △9一玉 ▲9八香 △8二銀 (第四図)

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 本譜、居飛車はすんなり穴熊に組むことができそうである。当初角交換四間飛車志向だった後手に対し、ノーマル振り飛車に誘導し、しかも角交換振り飛車系の戦型なら普通組みにくい居飛車穴熊に組めそうとなれば、居飛車党としては満足そうな展開に見えるかもしれない。実際はどうだろうか。

 

第四図以下、

▲9九玉 △5二金左 ▲8八銀 △7一金 ▲7九金 △4四銀 ▲3六歩(第五図)

 

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 この第五図を見て、何か違和感を感じた方はいらっしゃるだろうか。通常の四間飛車穴熊居飛車穴熊とは何かが違うのだ。

 そう、どういう訳か四間穴熊側が△4四銀型に組めてしまっているのだ。普通ではありえないはずのことが起きてしまっている。

 

 ここで、四間飛車穴熊居飛車穴熊に関する基本的な知識を確認する。下図はこの戦型における基本図。

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 ここで振り飛車は△5四銀と上がるのが定跡(△9二香▲9八香の交換を入れずに△5四銀と上がる手もある)。これを怠って単に相穴熊に組み合ってしまうと以下のような局面となることが予想される。

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 これは居飛車の右銀(5七~6六~7七までくっつけられる)と振り飛車の左銀(5四~6三までしかくっつけられない)の位置の関係上居飛車穴熊のほうが堅く、また2筋・3筋方面から仕掛ける権利を一方的に握っているのも居飛車のほうである。そのため振り飛車に全く主張がなく、互角のさばき合いになるだけで居飛車有利となってしまう。しかも仕掛けの権利自体、現状居飛車側が一方的に握っている。振り飛車にまっったく主張の無い局面なのである。

 そのためでここで△5四銀と上がり次の△6五銀の歩取りを見せて▲6六銀か▲6六歩の受けを強要させ、スムーズに図のような展開に持ち込まれるのを防ぐのである。

 つまり、居飛車穴熊四間飛車穴熊の戦型では、振り飛車側は△5四銀と上がる手が必須であった。そのため第五図のような△4四銀型に組む権利は無いはずなのである。

 しかし本譜では△5四銀の牽制を入れるまでもなく居飛車が▲6六歩と角道を止めている。そのため敢えて△5四銀と指す必要性が無い。よって△4四銀型に組むことが可能となったのだ。

 銀冠の項でも述べたが 4四銀型は攻撃力の高さが持ち味である。相穴熊において攻撃力が高い≒主導権が握りやすいというのは大きなポイントで、実戦的な勝ちやすさが期待できる。一旦切れにくい攻めができてしまえば、あとは自陣の三枚穴熊の堅さがとてつもなく心強い展開となる。はじめに「実戦的に勝ちやすい」と書いたのはこのような理由があるからだった。

 

第五図以下、

△5四歩 ▲6八金寄 △6四歩 ▲7八金寄 △6三金 ▲1六歩 △5五歩 ▲同 歩 △同 銀(第六図)

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 第五図から第六図にかけては一例。第五図最終手▲3六歩は△3五銀と出る手の防ぎ。△5五歩からの攻めは振り飛車側の主要な狙い筋のひとつ。第六図以下▲5六歩なら△4六歩▲5五歩△4七歩成で振り穴大成功である。

 

 

 第七図はこの戦法を採用した私の実戦譜。先手が私である。

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 先手は図の局面に至る途中で謎の手損をしてしまっているが、▲5五歩と仕掛けてどうかといったところ。△同歩▲同銀△5四歩では先程と同様に▲6四歩で手になるので居飛車の対応も難しい。

第七図以下、

 △9五角 ▲5四歩 △4二銀 ▲9五角 △同 歩 ▲6四歩 △同 歩 ▲4一角(第八図)

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 本譜、後手は△9五角と動いていったが、5筋を取り込んでから角を取り、▲6四歩 ~▲4一角と技をかけて良くなった。▲6四歩のような手はとくに穴熊戦ではありがちな手筋である。

 第八図以下、

△3一金 ▲7四角成 △8六歩 ▲6四馬 △7三歩 ▲4五歩 △7八角 ▲4九飛 △4五角成 ▲同 飛 △同 歩 ▲4四歩 △同 金 ▲5三歩成(第九図)

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 角成のあと、▲6四馬から▲4五歩と調子よく攻めていく。△同歩なら▲4四歩の叩きが入る。△7八角と打ってこの歩を払いにくるが▲4九飛とすれば△4五角成には▲同飛と切れば同様の狙い筋が成立する。第九図はと金をつくり守備金一枚の働きをおおきく弱体化させることに成功。駒損なしで手番を握り攻め続けられる振り飛車がはっきり良い。4筋が切れているため▲4三歩の垂らしがあるのも好都合で、本譜でもそれを実現させて着実に居飛車穴熊の堅陣を切り崩していった。穴熊攻略に一番有効なのはやはりと金攻めである。

 

 

 以上、駆け足であるがざっくりと自己流振り飛車穴熊の狙いを解説した。これ以外にも有効なKKS拒否に対する振り飛車側の策は既にあるし、そもそも角交換拒否の指し方自体かなり少なくなっているのであまり価値のある記事ではないかもしれないが、どこかで何かのお役に立てていただければと思う。

 

かつて私が驚愕した創作詰将棋

 いきなりだが、下図は私が昔創作した詰将棋である。なのは詰め、脊尾詰め、激指のいずれにかけても作為通りの解を返してきたので、恐らく完全作のはず。(柿木将棋でも試したかったが持っていないので断念)

 

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 数年前にこれを創った私は、自慢するべく詰将棋として成立しているか確かめてもらうべく数名の棋友の人たちに見てもらった。その数名の内訳は、三段以上はあるような実力者から級位者までさまざまであった。

 

 数日後。さっきの棋友達のうち、一番将棋歴が浅く棋力も低い人からある盤面を見せられた。それが下の図。

 

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 正直かなり驚いた。短手数だが、詰将棋ならではの技巧が多数詰まっている。とても彼並みの棋力のひとの作品とは思えない。他の強い人からみても同様の評価がなされていた。

 彼は私に向かって「君の詰将棋を見て、面白そうだったからそれを参考に自分も作ってみた」という旨のことを言っていた。確かに私の詰将棋の筋を参考にした面影は残っている。しかし、数少ない趣向の実現のためだけにやたらと駒数と手数を伸ばした私のものよりも、ごく短手数でシンプルにあらゆるものを表現できている彼のもののほうが詰将棋として完成度が高いように思えてならない。

 

 彼は当時、将棋歴は一年もなかったはずである。将棋を覚えてから数か月でとてつもなく強くなるというタイプの人も世の中にはいるらしいが、彼の場合将棋に対してそこまでの熱意があったという訳でもないのであまり強くはなかった。しかしこの詰将棋の件も含めて、彼には随所に才能を感じる部分があった。十分な熱意と時間を将棋に注げばあるいは、というものを感じさせられた。それどころか、将棋以外のありとあらゆる分野に関しても才能がある人だった。

 

 結局彼は将棋に向かってながく情熱を向けることはなかった。そんなものとは思うが、何となく惜しい。

【SDT5版】最新フリーソフトのリンクまとめ 【コンピュータ将棋】

 第五回将棋電王トーナメント(以下SDT5)の後公開されたトップクラスの棋力を持つ将棋フリーソフト+詰探索エンジンのリンクとそれぞれの簡単な特徴まとめ。SDT5以前からあったものは、たとえ今のトップクラス勢と張り合えるくらい強いとしても載せていない(ただし詰探索エンジンと一部の探索部は除く)。情報は基本的にすべて11/19時点。そのうち書き足すかも。

 これは将棋ソフトにある程度慣れている方向けの記事となる。ソフトのダウンロード先のリンクだけ書かれており、具体的な導入方法や用語の意味などは解説していないためだ。

 評価関数、探索部、定跡、詰探索エンジンに分類して分けて並べてみた。

 

 

評価関数(互換性のあるもののみ)

Aperypaq (12/6追加)

https://github.com/qhapaq-49/qhapaq-bin/releases/tag/eloqhappa

【形式】KPPT

 

平成将棋合戦ぽんぽこ

https://github.com/nodchip/hakubishin-/releases

【形式】KPPT

【同時に公開されているもの】探索部:無 定跡:付属

 

Apery

https://twitter.com/HiraokaTakuya/status/929926596709965824

【形式】KPPT

【備考】SDT5版のAperyの評価関数を他との互換性のあるKPPTに変換したもの。

 

elmo

https://twitter.com/mktakizawa/status/930247345278672896

【形式】KPPT

【同時に公開されているもの】探索部:無 定跡:付属

 

Qhapaq_conflated

http://qhapaq.hatenablog.com/entry/2017/11/24/005749

https://github.com/qhapaq-49/qhapaq-bin/releases

【形式】KPPT

【同時に公開されているもの】探索部:無 定跡:付属

 

人造棋士18号

https://github.com/Tama4649/18gou_sdt5

【形式】KPP_KKPT

【同時に公開されているもの】探索部:有 定跡:付属

【備考】他にも実験素材のような評価関数も公開されているようだ。

https://twitter.com/mm_Tamachan_mm/status/931874239367462912

 

HoneyWaffle

https://github.com/32hiko/HoneyWaffleSDT5

【形式】KPPT

【同時に公開されているもの】探索部:無 定跡:付属

 

mafu110(12/31追加)

http://www.mafujyouseki.com/article/455568636.html

  【形式】KPPT

 

透。氏作成の評価関数(12/31追加)

(透。さんが作成された複数の評価関数が公開されている。詳しくはリンク先へ)

http://ch.nicovideo.jp/niko_syougi/blomaga/ar1384203

http://ch.nicovideo.jp/niko_syougi/blomaga/ar1403680

【形式】KPP_KKPT、KPPT

 

探索部

やねうら王2018 with お多福ラボ

https://github.com/yaneurao/YaneuraOu/releases

【同時に公開されているもの】評価関数:有 定跡:有

【使用可能な評価関数の形式】KPPT、KPP_KKPT(それぞれに対応した実行ファイルが別個に置いてある。詳しくはリンク先へ)

【使用可能な定跡の形式】やねうら形式・Apery形式

 

Apery

https://github.com/HiraokaTakuya/apery/releases (github)

https://drive.google.com/open?id=1Ip9jP9toZmK690W-dIg19c2fxumIGsr0 (Google Drive)

【同時に公開されているもの】評価関数:無 定跡:有

【評価関数の互換性】無

【使用可能な定跡の形式】Apery形式

【備考】評価関数は、そのままの形ではやねうら王等他の探索部では使えない。上の"評価関数"の項目で紹介したリンク先のものなら使用できる。

また、Aperyのリンク、使用法などが書かれた本家様のサイトはこちら。http://hiraokatakuya.github.io/apery/

 

人造棋士18号

https://github.com/Tama4649/18gou_bin

【同時に公開されているもの】評価関数:有 定跡:有

【使用可能な評価関数の形式】KPPT、KPP_KKPT(それぞれに対応した実行ファイルが別個に置いてある。詳しくはリンク先へ・11/26追記)

【使用可能な定跡の形式】やねうら形式

 

読み太

https://github.com/TukamotoRyuzo/Yomita/releases

【同時に公開されているもの】評価関数:有 定跡:有

【評価関数の互換性】無

【使用可能な定跡の形式】独自定跡のみ、編集不可

【備考】以前までの読み太の評価関数は互換性があったが今回は無いので要注意。

 

SILENT_MAJORITY 1.25 

https://github.com/jangja/silent_majority/tree/1.2

http://garnet-alice.net/shogiengine/silent_majority/ (mingwでビルドして最適化したらしい。こちらのほうがNPSが増える?)

【同時に公開されているもの】評価関数:無 定跡:無

【使用可能な評価関数の形式】KPPT

【使用可能な定跡の形式】Apery形式

 

SILENT_MAJORITY 1.25 clang(12/31追加)

https://github.com/ohga/silent_majority/releases

【同時に公開されているもの】評価関数:無 定跡:無

【使用可能な評価関数の形式】KPPT

【使用可能な定跡の形式】Apery形式

 

定跡

まふ互角局面集(12/31追加)

http://www.mafujyouseki.com/article/455613473.html

【形式】やねうら形式、sbk形式(ShogiGUI用)

【同時に公開されているもの】評価関数(上記参照)

 

千田定

https://twitter.com/mizumon_/status/929823636147511296

【形式】Apery形式、sbk形式(ShogiGUI用)

 

ぽんぽこ定

https://github.com/nodchip/hakubishin-/releases

【形式】やねうら形式

【同時に公開されているもの】評価関数

 

elmo

https://twitter.com/mktakizawa/status/930247345278672896

【形式】やねうら形式、Apery形式

【同時に公開されているもの】評価関数

 

河童パーク定跡

http://qhapaq.hatenablog.com/entry/2017/11/24/005749

【形式】やねうら形式

【同時に公開されているもの】評価関数

 

HoneyWaffle定

https://github.com/32hiko/HoneyWaffleSDT5

【形式】やねうら形式

【同時に公開されているもの】評価関数

 

18号定

https://github.com/Tama4649/18gou_sdt5

【形式】やねうら形式

【同時に公開されているもの】評価関数、探索部

 

 

詰探索エンジン

脊尾詰

http://panashogi.web.fc2.com/seotsume.html

 

なのは詰め

http://vivio.blog.shinobi.jp/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E5%B0%86%E6%A3%8B/%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%AF%E8%A9%B0%E3%82%8164bit%E7%89%88

 

 

今更書いてみた将棋フリーソフト導入法

 将棋ソフトの導入の仕方について書きたいと思う。

 SDT5も近くなってきたこのタイミングでこれを書くというのもすこぶる筋悪な気がするが、自分の周りの人たちからは未だに「ソフトをどうすれば使えるのか分からん」という声がしばしば聞かれる。”ソフトなんか使わないよ”というタイプの方はともかく、使いたいという意志があるのに使えない方がいるのはよろしくないだろう。そこで、ここではWindowsのPCにおける将棋フリーソフト技巧2」の導入の仕方を書いてみる。

 そしてこの記事は、

・初めてここ最近の将棋フリーソフト(激指など市販のもの、Bonanzaなどの一定以上古いものではなく)を使おうと思った

・将棋フリーソフトを導入しようと考えたができなかった、あるいはやり方が分からなかった

などといった方々を対象として想定している。

 

 なお、筆者はこの記事の内容を保証しません。導入は自己責任でお願いいたします。

 

 また、この記事を読んでもやはり分からないという方は、各ソフト・アプリのサイト等をご覧になってほしい。

 

・ShogiGUI本家様のサイト

http://shogigui.siganus.com/

・技巧2のgithub

https://github.com/gikou-official/Gikou

 

 ここからしばらく淡々と解説パート。

 

 

0.ソフトの利用が環境の確認

 この記事の内容だが、お使いのPCがWindows7以降の64bit版であることが条件となる。Windows7以降かどうかはおわかりになるか思うが、64bit版かどうかは分からない方がいるかもしれない。これを調べる一例を挙げよう。

 多分スタートボタンが画面にあるかと思うので、これを右クリック。更に「システム」を選ぶ。表示されるウィンドウの”システムの種類”という項目でbit数を確認できる。これが64bitではない方は、残念ながら以下の方法ではソフトを利用できないと思われる。

 もし32bitだったと言う方は、調べれば32bit用のソフトが出てくると思うのでそちらの利用を検討してみてほしい。

 

 それでも自分のPCの環境がなんなのか分からないという方のための参考サイト↓

リコー | パソコンの OS とビット数の確認方法 (Windows XP/Vista/7/8/8.1/10)

 

1.必要なアイテムをダウンロード

 ソフトを使えるようにするために必要なアイテムをダウンロードをしておく。

ソフト本体(エンジン)とGUIの二種類が最低でも必要となる。エンジン(ソフト)単体だけではこれを利用することができないのだが、GUIというアプリを組み合わせるとこのエンジンを使うことが出来る。ここではエンジンは「技巧2」、GUIは「ShogiGUI」を使ってみる。

 それぞれのリンク先はこちら。

 

技巧2

https://github.com/gikou-official/Gikou/releases

ShogiGUI

http://shogigui.siganus.com/download.html

 

 技巧2は、「技巧2(Windows版 v2.0.2)(最新)」という項の「Downloads」→「gikou2_win.zip」とクリックするとダウンロードが開始される。

 

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 ShogiGUIは、2017/6/21 ver 0.0.6.11が最新版(執筆時)なのでこれをダウンロード。

 インストーラ版とzip版とあり、どちらでも構わないがここではzip版として解説を進める。とはいえインストーラ版でも方法が大きく変わることはないだろう。

 

2.ダウンロードしたアイテムを解凍・配置する

 ShogiGUIや技巧をダウンロードしたので、これらを使えるように配置する。ここでは仮に、デスクトップ上にこれらを置いてみることにしよう。もちろんデスクトップに置くのは邪魔になるので嫌だという方は任意の場所に変えても構わない。

 まずは1でダウンロードしたShogiGUIを解凍する。zipファイルになっているので、右クリックして「解凍」とか「展開」などという項目を選ぶと解凍(展開)できると思われる。

 

※コンピュータ将棋関連のファイルを解凍するアプリとしては7-zipなど7z形式に対応しているものがおすすめできる。なぜならコンピュータ将棋関連のファイルはアップロードされる際に圧縮されていることがほとんどなのだが、その圧縮形式にはzip形式のほかに7z形式になっているものが多いからだ。

 

 解凍されたShogiGUIのフォルダ(ShogiGUIv0.0.6.11などという名前のはず)をデスクトップに配置してみる。

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 これの中には、「ShogiGUI.exe」という名前のアプリがあるはずである。これのショートカットをデスクトップ上に置いておくと便利かもしれない。

 

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 また、技巧2の入った「gikou2_win.zip」を任意の場所に解凍する。中にはいろいろな種類のファイルが入っている。どれも必要なものなので、邪魔にならない適当な場所にフォルダを作ってその中にまとめて置いて保存するなどするとよい。

 

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 ↑解凍後の中身はこんな感じ。

3.ShogiGUIを開く

 例のShogiGUIが既に使える状態になっているはずなので、これ(ShogiGUI.exe)を開いてみる。

 ShogiGUIにはデフォルトでGPS将棋というソフトが入っており、直ちにこれを対局、検討などで使うことが可能だ。このGPSだけでも十分に強い(ほとんどの人間が互角以上に戦うのが困難なレベル)のだが、これから導入する技巧2はこのGPSを遥かに凌ぐ強さである。

 なお、ShogiGUIの詳しい使い方は上記のShogiGUI本家様のサイトなどを参照していただきたい。

 

4.ShogiGUIに技巧2を登録する

 ShogiGUIに技巧2を登録することで、技巧をShogiGUIで動かすことができるようになる。

 ShogiGUIのメニューから「ツール」→「エンジン設定」を選ぶとダイアログ(ウィンドウのようなもの)がでてくる。これをみると、既にGPSが登録されていることがわかる。

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先に述べた、デフォルトで入っているGPSとは実はこれらのことである。このように登録されたソフトを対局・検討などのために動かすことができるようになるのだ。では、技巧2も同じように登録していこう。

 このダイアログにある「追加」ボタンを押すと、また新たなダイアログがでてくる。

 ここの画面で、先程解凍・保存した技巧2のファイルたちがおいてあるフォルダを選択し、そこまで移動する。

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 このように「gikou.exe」というファイルがあるだろう。これが技巧2の本体のエンジンである。これを選択し、ダイアログの「開く」ボタンを押す。

 ここで「エンジン設定」というダイアログが出現すれば成功。

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ここで各項目の数値などをいじると技巧2の設定を変更できるのだが、やや難しい内容になるので今回の解説は見送ろうと思う。そのまま「OK」を押せば登録・設定は完了である。設定はあとからでも変更できる後回しでもよい。 

 

 ただし、非常に重要な項目を2つほど解説しておこう。面倒ならひとまずここは飛ばしてもよい。

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 まずは「Threads」(スレッド数)。デフォルトでは4に設定されている。簡単にいうとPCの演算能力の中からどれだけの量をソフトの思考に充てるかという項目だ。

 多ければ多いほど早く探索(読むこと)ができるので有利だが、そのぶんPCが重くなり、同時に他の作業をするのが難しくなるなどの弊害がある。また、この値は無尽蔵に増やせばよいという訳ではなく、それぞれの環境ごとに上限がある。PCに内蔵されるCPUは当然有限だからだ。

 一般的な最近のノートパソコンであれば、内蔵されているスレッドの数は4や8が多い。例えば4スレッドのPCで2スレッドに設定したソフトを動かせばCPUの50%を使用して探索(読む)する。PCのスペックを調べ、そのうちいくつのスレッドをソフトに割り振るかを各自で考えて「エンジン設定」から「Thread」の項目に適当な値を入れるとよい。

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 次は「OwnBook」だ。デフォルトではTrue(チェックが入っている状態)になっているだろう。これは内部定跡の使用するか否かを設定する項目だ。True、つまりチェックを入れれば定跡を使用し、False、つまりチェックを外せば使用しない。

 技巧2に標準搭載されている定跡は「まふ定跡」というもので、非常に優れた定跡である。Ponanza Chainerがelmoに敗北する要素の一つにもなったほどである。その優秀性の解説は他に譲るが、ユーザーにとっては定跡onになっているのが弊害をうむ恐れがある。

 繰り返すが、この定跡はとても優秀である。非常に広い局面までカバーされており、登録手は250万手以上になるらしい。だが定跡の範囲内の局面を探索させても、定跡使用がオンの設定だとソフトは探索せず、評価値も読み筋も返してこないのだ。検討などでこれらを知りたいユーザーにとっては定跡が邪魔だと思うかもしれない。

 そのような方はこの「OwnBook」のチェックを外すことで定跡不使用にさせ、読み筋や評価値などを調べることができるようになる。逆に定跡があったほうが好都合だという方はチェックをいれたままでも構わない。

 

5.対局・検討などで技巧2を使用する。

 4で技巧2をShogiGUIで使用する環境は整った。実際に技巧2を使用してみよう。なお、ShogiGUI本家サイト(上記)の使い方の解説のほうがはるかに丁寧なので、ぜひそちらを読んでいただきたい。

 メニューから「対局」を選ぶと対局ダイアログがでてくる。

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 先手(後手)の中に対局者を選択する項目があるので、「Gikou 2」を選択する。もう片方の対局者で「あなた」つまり人間を選べば技巧2と対局が可能である。

 技巧2にはフリーソフトとしては非常に多くの機能が搭載されており、強さの調整や指させる戦型を指定させることができる。ここでは具体的なやり方は解説しないが、これらで遊んでみるのも面白いかもしれない。

 対局の他の主要な使い方には検討モードがある(というかこちらで使う人のほうが多そう)。ユーザーが盤上に任意の指し手を示し、それに検討ソフトが評価値や読み筋を返してくるモードだ。

 メニューから「検討」を選ぶと検討ダイアログがでてくる。

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 使用ソフトに技巧2を選ぶ。

※任意で「候補手の数」をいじってもよい。これを多くすると検討時に表示される候補手も増える。つまり一度により多くの手を読んでそれを表示する。ただしその分ソフトも多くの分岐の読むことになり、一手あたりの探索が浅くなるので多すぎるのも考えものである。お好みでどうぞ。

 これで「検討開始」を押すと検討が始まる。対局後の反省や研究などに用いるとよいだろう。

 

 

 さて、これで技巧の導入と簡単な使い方までの解説は終了である。お役に立てていただければ幸いである。

 

※関連記事

 技巧に慣れて他のソフトにも手を出してみたくなったという方はこちらもどうぞ。

 

negishiroom.hatenablog.com

 

 

 

実戦詰将棋問題の解答解説

 

Twitter(下)にて紹介した実戦詰め将棋の解答である。出題から解答発表までTwitter上だけですませようかと思ったが、軽い解説込みでこちらに解答をのせることにする。

 

 問題図はこちら。まだ解いていないという方は挑戦してみてほしい。

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(下スクロールで解答解説)

 

 

 

 

 

 

 

 

<ここから解答解説>

 

 

 まずは▲8三角成 △同 玉 ▲3八角(第一図)。▲3八角が実戦では見落としやすい王手。合駒が悪いためこれでしばらく王手が続く形になる。

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 逃げる手は簡単に詰むので合駒することになる。△74銀は▲同角△同歩▲8四銀以下。△74歩の移動合は▲同角△同玉▲8五金△6四玉▲6五金以下で早く詰む。よって△7四角が正解。玉方としては頭の丸い駒を押しつけることが最善の延命となる。

 以下▲同角△同歩に▲8四銀△同玉と呼んでからもう一度▲6六角(第二図)。

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 △7五銀などでは▲同角から頭に金銀をぺたぺた打って並べ詰み。やはり△7五角と角合いするのが正解。

 以下▲同角△同歩で、第三図。頭から金を打っていっても一枚足りず詰まない。持ち角を有効活用してこの不足を賄いたい。

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▲7四金△同玉▲3八角(4七、5六も可)。金が足りないところであえて捨てるのがうまい。ここで△7三玉は▲8五桂、△8四玉は▲7四金△9三玉▲8五桂で早く詰むので△6四玉(第四図)。

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 ここから▲6五金△7三玉▲7四金△8二玉▲8三金△7一玉と角の脚の長さを生かして手順に追っていけるのが金捨ての効果。さらに▲7二金△同金▲同龍△同玉と精算して第五図。

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 ここまでくれば収束が見えてくる。▲8三銀と打っておく。△6二玉は▲7二金なので△7三玉だが、▲8五桂と活用するのがあまりにもぴったり。以下△8四玉▲7四銀成△8五玉▲8六金(第六図)で詰め上がりとなる。

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 最初の図から数えて33手詰み。歩2枚しか余らないぴったりの詰み筋だった。

 

 <解答>

▲8三角成 △同 玉 ▲3八角 △7四角 ▲同 角 △同 歩
▲8四銀 △同 玉 ▲6六角 △7五角 ▲同 角 △同 歩
▲7四金 △同 玉 ▲3八角 △6四玉 ▲6五金 △7三玉
▲7四金 △8二玉 ▲8三金 △7一玉 ▲7二金 △同 金
▲同 龍 △同 玉 ▲8三銀 △7三玉 ▲8五桂 △8四玉
▲7四銀成 △8五玉 ▲8六金 まで33手詰み

角交換四間飛車vs▲4六歩早突き に関する見解をとりあえず急ぎまとめる

 

 この記事↓が一部界隈で反響があったりなかったりしたみたいなので、少しだけ補足とかしてみる。間違いとかあったらごめんなさい。

 

negishiroom.hatenablog.com

 

 詳しくはこの記事を参照していただきたいが、ざっくり言うと後手で角交換四間飛車をする際は左銀よりも玉を先に移動させたほうがよいという話である。以前は勝手に「アユム流」と呼ばせていただいていたが、本稿ではとりあえず単に▲4六歩早突きと呼称しておく。

 

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 この局面の▲4六歩が上手い手で、以下腰掛け銀に組めることがほぼ確定する。詳細は上の記事にあるので本稿では割愛する。

 ただし同じ事を振り飛車先手番のときにやろうとしても一手早いため、▲8八銀を先に入れても間に合いそうだ。

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 同様の形で△6四歩と突いても▲3八玉△6二銀▲6六歩ぐらいで失敗だろう。

 

  

 また、後手番で角交換振り飛車を志向するとき、▲7六歩△3四歩▲2六歩△8八角成▲同銀△2二銀(4二銀)などと一手損角換わりのような手順を選ぶことがある。

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それ自体はべつにいいのだが、以下例えば▲4八銀△3三銀▲6八玉などと進んだときに△4二飛とすることがある。ただしこれは上記手順に▲4八銀△3三銀の交換が入った形となる。これは居飛車にとって得な交換で、そこで▲4六歩とする上記と同様の手筋が成立してしまう。

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 よって、このオープニングから振り飛車にするならダイレクト向かい飛車を選ぶ方が妥当で、四間飛車にするのは損だろう。ウォーズでレグスペのエフェクトを出したいなどの特殊な状況で無い限り、KKSを目指すなら4手目△4二飛のほうがよいと考えている。

 

 この一手損角換わり風の出だしからのKKSは、振り飛車が先手番のときでも後手番の際と似たような理由で難しい。初手から▲7六歩△3四歩▲2二角成△同銀から先手KKS、後手居飛車として進めた仮想図が以下。

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 一番上の図と比べて振り飛車の7七銀が入っている格好。しかしこの手は△6四歩の狙いを直接防いでいるわけではない。やはり腰掛け銀に組む居飛車の狙いは止められない。

 ただし、一応ここで▲3八金という手はある。2七と4七の両方を一手でカバーするにはこれしか無い手。以下△6二銀▲6六歩△6三銀▲6五歩△同歩▲同飛が想定される進行。

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 このとき△7四角も△5四角もないのでこの飛車先交換が成立するというのが▲3八金のねらい。一応この手は後手KKSのときもあったが、このケースでは▲7七銀が入っている分この銀の出足が早いのでより有力になっている可能性がある。

 ここからは△6四歩と収めるか、8四歩保留型を生かして△6二飛とするのが主な候補手。まあ難しい将棋だが、先手の囲いが金美濃に限定されたことをどう見るか。居飛車は△3三銀~△4四銀と繰り出して振り飛車の左銀の中央進出に対抗してくるのが有力そうだ。先手がどう打開するかという将棋になることが想定される。

 

 同様の狙いを後手振り飛車のときにやるとどうだろう。以下がその局面。

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 さらに同様に手を進めるとこうなる。

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 この局面をどう評価するべきか。さっき振り飛車先手の場合の似た図をのせたが、それと比べ振り飛車一手遅くなっており、かわりに後手番なので打開の義務はない。先の記事を執筆した時点では振り飛車が美濃に組めないのは不満と思い特にこの手順に関して言及しなかったが、最近になって、もしかすると角交換振り飛車には美濃囲い以外の囲いにも可能性があるかもしれない、と考えを改めたので紹介した次第。とはいえ美濃囲いの人気は高いため、喜んでこの後手を持ちたい人がどれだけいるかは疑問な気もするが。

 

  なんか大したこと書いていないような気もするが、ひとまずこれで記事を終える。

KKS小ネタ① elmoもyaselmoもだまされた?飛車先交換の誘惑

 書くネタが特に思いつかないので、取るに足らない程度のKKSの小ネタを書いてみる。タイトルに①とあるけど②以降に続くかは分からない・・・。

 

 

<5月某日のぼく>

 先日のwcsc27の結果は衝撃的だった。まさか新顔のelmoが王者ponanzaを破って優勝するとは。しかもそのelmoの評価関数が公開されたのはコンピュータ将棋ファンとしては嬉しい限りである。早速導入してみよう。

 公開されているのは評価関数だけである。つまり何か別に探索部が必要と言うことだ。いまある探索部として優秀なものは魔女かやねうら王か・・・とりあえず魔女にしてみよう。

 さて、導入も済んだのでこれで研究でもしてみるか。検討モードで魔女elmoを起動してみる。とりあえずどんな局面を調べようかな・・・(適当に手順を入力していく)。

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 とりあえずここを課題局面にしようかな。評価値や候補手はどんなものだろう。

 うわー、先手+300点ぐらいになっている。すでに作戦負けレベルではないか。だいぶ振り飛車に辛いなあ。浮かむ瀬の時も結構辛いと思ったけれど、elmoはそれ以上にひどい。強いソフトになる毎に振り飛車の評価値が落ちているあたり、やはり振り飛車は不利飛車なのか・・・。

 ところで、評価値はどんなものだろう。

 

深さ 19/31 ノード数 2727332 評価値 205 読み筋 ▲5八金(49) △3三角(22) ▲同 角成(88) △同 桂(21) ▲9六歩(97) △9四歩(93) ▲8八銀(79) △2二飛(42) ▲4六歩(47) △4二銀(31) ▲6八金(58) △2一飛(22) ▲4七銀(48) △5四歩(53) ▲7七銀(88) △3二金(41) ▲8八玉(78) △1四歩(13) ▲7九金(69) △5一飛(21) ▲6六歩(67) △8四歩(83) ▲2四歩(25) △同 歩(23) ▲同 飛(28) △5五歩(54) ▲2八飛(24)

 

深さ 19/31 ノード数 2727332 評価値 210 読み筋 ▲9六歩(97) △3三角(22) ▲同 角成(88) △同 桂(21) ▲8八銀(79) △2二飛(42) ▲7七銀(88) △4二銀(31) ▲5八金(49) △9四歩(93) ▲4六歩(47) △3二金(41) ▲6八金(58) △2一飛(22) ▲4七銀(48) △5四歩(53) ▲8八玉(78) △5一飛(21) ▲6六歩(67) △5三銀(42) ▲7九金(69) △4四銀(53) ▲5八銀(47) △6四歩(63)

 

 ▲9六歩と▲5八金か。まあそんなもんか。ん?もう一つの候補手・・・

 

深さ 19/31 ノード数 2727332 評価値 284 読み筋 ▲2四歩(25) △8八角成(22) ▲同 銀(79) △2四歩(23) ▲同 飛(28) △2二飛(42) ▲2三歩打 △5二飛(22) ▲9六歩(97) △3二金(41) ▲3六歩(37) △5四歩(53) ▲7七銀(88) △3三桂(21) ▲3七桂(29) △9四歩(93) ▲5八金(49) △5五歩(54) ▲4六歩(47) △5六歩(55) ▲同 歩(57) △同 飛(52) ▲2五桂(37) △1五角打

 ん?

 ▲2四歩!?

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 ここで?しかもこの手の評価値が一番高いだと!?まさか、こんな手で角交換四間飛車は潰れているというのか。これで振り飛車ダメならば非常にまずい。戦法の根幹に関わる。恐るべしelmo、既に一つの戦法をあっさりと抹消しようというのか。

 まあ、ひとまず読み筋どおりに進めてみよう。

▲2四歩△同歩▲同飛△8八角成▲同銀▲2二飛△2三歩。

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 まあ妥当な進行だ。ここで魔女elmoの候補手は△4二飛と△5二飛だ。それで評価値が先手300点ぐらいになる。

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このあと後手は△3二金としてバランスを取ろうとするが、そうなると2三歩のくさびが痛い。△4二銀とは上がれないので△2四歩とふたをして△2三金と歩を取りに行くこともできない。これとは違う展開で▲2四歩と△2二歩の形に収まる変化もあるがそれとは話が違う。それは3三銀型で△4四飛~△2四飛とか△42角~△2四銀と歩を払う楽しみがある。

 というわけでそうなるなら居飛車はっきり作戦勝ちだが、一般的にはここで△1二飛とするのが定跡である。それで振り飛車何か悪いのか。この局面、MultiPVが2だと△1二飛は候補手にすらでてこないが・・・。

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  この局面を検討させてみると・・・

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 悲惨である。この局面そんなに後手が悪いのか?

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 仮に先手▲5八金右だとして(上図)、次の読み筋は?

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 輪を掛けて悲惨なことになっている。

 しかし、この局面は後手△3二金とするのが定跡の教え。次に△2二歩▲同歩成△同飛として飛車交換を持ちかけて後手十分というのが定説のはず。その△3二金が4番手にすら入らないとは何事だ?

 と思っていたら。

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 あれ?

 以下△3二金▲2八飛△2二歩▲同歩成△同飛。読み筋通り、かつ定跡通りの手順で下図。

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  この進行で評価値-200。更に評価値を下げる形で反省した。試しに21手目の局面で▲5八金右以外の手を選んでも、以下同じように進めて似たような評価にいきついてしまう。

 ・・・あれ?

 elmoってこんなもん?

 Ponanza Chainerを破った強さがこれ?

 

 

 

 

<茶番終わり>

 実は、elmoというものはある程度長い思考時間(正確にはノード数か)を与えないとあまり強くならないという困った特性持ちなのだ。上に示した評価値や候補手などは、探索深さを明記した通り多くが大した考慮時間が無い条件下だった。よってまともな時間を与えさえすれば上のような悲惨なひどいハマリを食らうわけではないようだ。

 ただし、一番上の基本図で▲2四歩という手は、深く読ませてもそこそこ高い評価のままになる。他の手のほうが評価値が高くなるので実際に▲2四歩とすることはほとんどありえないが、それでも200点ぐらいの評価にはなってしまう。上では5月当時の私の環境に合わせるため魔女elmoを使用しているが、試しにやねうら王4.74+elmoで検討してもおなじような感じになった。なので、SILENT_MAJORITYの探索部の問題でもなさそうだ。

 

 評価関数を変えて軽く調べてみたが、Qhapaqやeloqhappa、読み太、nozomiもelmoほどではないが▲2四歩をそこそこ評価しており、そのあとの△1二飛~△3二金が見えていない。rezeroやmafu、relmo、mafuta3、さらには今現在最強とされているyaselmoにしても同様。たぬきだけが▲2四歩をまるで評価しておらず、評価値を大きく下げていたが、その後の△1二飛~△3二金は読んでいない。そのたぬきと並んで最も優秀っぽかったのは技巧2で、▲2四歩を大して評価せず、さらに△1二飛~△3二金を最もスムーズに読んだ。wcsc27で唯一elmoに土をつけた技巧がelmoの欠陥をあっさり乗り越えているのが感慨深い。

 これだけ評価関数を変えても、暫定最強のyaselmoを含めほとんどのひと達がハマってしまうあたりをみると、これは探索部の問題なのだろうか?やねうら系とは違うシステムを持つ技巧2がハマっていないのがこの仮説をなんとなくそれっぽくしている感じだ。

 

 評価値だけで局面を判断しようとすると、レート3900ほど(※1)もある魔女elmoはおろか、4100ぐらい(※2)のyaselmoですらこのようなことが起こりうる。局面局面での評価値だけ(浅い探索ならばなおさら)を眺めて一喜一憂する前に、その先の展開もしっかり調べないと痛い目をみるよ、ということを示す一例だった。

 

※1・2  http://www.uuunuuun.com/english