根岸の部屋

管理人の備忘録がてらに将棋について書き殴ってます。棋力は絶賛伸び悩み中\(^0^)/

実戦詰将棋問題の解答解説

 

Twitter(下)にて紹介した実戦詰め将棋の解答である。出題から解答発表までTwitter上だけですませようかと思ったが、軽い解説込みでこちらに解答をのせることにする。

 

 問題図はこちら。まだ解いていないという方は挑戦してみてほしい。

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(下スクロールで解答解説)

 

 

 

 

 

 

 

 

<ここから解答解説>

 

 

 まずは▲8三角成 △同 玉 ▲3八角(第一図)。▲3八角が実戦では見落としやすい王手。合駒が悪いためこれでしばらく王手が続く形になる。

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 逃げる手は簡単に詰むので合駒することになる。△74銀は▲同角△同歩▲8四銀以下。△74歩の移動合は▲同角△同玉▲8五金△6四玉▲6五金以下で早く詰む。よって△7四角が正解。玉方としては頭の丸い駒を押しつけることが最善の延命となる。

 以下▲同角△同歩に▲8四銀△同玉と呼んでからもう一度▲6六角(第二図)。

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 △7五銀などでは▲同角から頭に金銀をぺたぺた打って並べ詰み。やはり△7五角と角合いするのが正解。

 以下▲同角△同歩で、第三図。頭から金を打っていっても一枚足りず詰まない。持ち角を有効活用してこの不足を賄いたい。

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▲7四金△同玉▲3八角(4七、5六も可)。金が足りないところであえて捨てるのがうまい。ここで△7三玉は▲8五桂、△8四玉は▲7四金△9三玉▲8五桂で早く詰むので△6四玉(第四図)。

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 ここから▲6五金△7三玉▲7四金△8二玉▲8三金△7一玉と角の脚の長さを生かして手順に追っていけるのが金捨ての効果。さらに▲7二金△同金▲同龍△同玉と精算して第五図。

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 ここまでくれば収束が見えてくる。▲8三銀と打っておく。△6二玉は▲7二金なので△7三玉だが、▲8五桂と活用するのがあまりにもぴったり。以下△8四玉▲7四銀成△8五玉▲8六金(第六図)で詰め上がりとなる。

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 最初の図から数えて33手詰み。歩2枚しか余らないぴったりの詰み筋だった。

 

 <解答>

▲8三角成 △同 玉 ▲3八角 △7四角 ▲同 角 △同 歩
▲8四銀 △同 玉 ▲6六角 △7五角 ▲同 角 △同 歩
▲7四金 △同 玉 ▲3八角 △6四玉 ▲6五金 △7三玉
▲7四金 △8二玉 ▲8三金 △7一玉 ▲7二金 △同 金
▲同 龍 △同 玉 ▲8三銀 △7三玉 ▲8五桂 △8四玉
▲7四銀成 △8五玉 ▲8六金 まで33手詰み

角交換四間飛車vs▲4六歩早突き に関する見解をとりあえず急ぎまとめる

 

 この記事↓が一部界隈で反響があったりなかったりしたみたいなので、少しだけ補足とかしてみる。間違いとかあったらごめんなさい。

 

negishiroom.hatenablog.com

 

 詳しくはこの記事を参照していただきたいが、ざっくり言うと後手で角交換四間飛車をする際は左銀よりも玉を先に移動させたほうがよいという話である。以前は勝手に「アユム流」と呼ばせていただいていたが、本稿ではとりあえず単に▲4六歩早突きと呼称しておく。

 

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 この局面の▲4六歩が上手い手で、以下腰掛け銀に組めることがほぼ確定する。詳細は上の記事にあるので本稿では割愛する。

 ただし同じ事を振り飛車先手番のときにやろうとしても一手早いため、▲8八銀を先に入れても間に合いそうだ。

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 同様の形で△6四歩と突いても▲3八玉△6二銀▲6六歩ぐらいで失敗だろう。

 

  

 また、後手番で角交換振り飛車を志向するとき、▲7六歩△3四歩▲2六歩△8八角成▲同銀△2二銀(4二銀)などと一手損角換わりのような手順を選ぶことがある。

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それ自体はべつにいいのだが、以下例えば▲4八銀△3三銀▲6八玉などと進んだときに△4二飛とすることがある。ただしこれは上記手順に▲4八銀△3三銀の交換が入った形となる。これは居飛車にとって得な交換で、そこで▲4六歩とする上記と同様の手筋が成立してしまう。

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 よって、このオープニングから振り飛車にするならダイレクト向かい飛車を選ぶ方が妥当で、四間飛車にするのは損だろう。ウォーズでレグスペのエフェクトを出したいなどの特殊な状況で無い限り、KKSを目指すなら4手目△4二飛のほうがよいと考えている。

 

 この一手損角換わり風の出だしからのKKSは、振り飛車が先手番のときでも後手番の際と似たような理由で難しい。初手から▲7六歩△3四歩▲2二角成△同銀から先手KKS、後手居飛車として進めた仮想図が以下。

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 一番上の図と比べて振り飛車の7七銀が入っている格好。しかしこの手は△6四歩の狙いを直接防いでいるわけではない。やはり腰掛け銀に組む居飛車の狙いは止められない。

 ただし、一応ここで▲3八金という手はある。2七と4七の両方を一手でカバーするにはこれしか無い手。以下△6二銀▲6六歩△6三銀▲6五歩△同歩▲同飛が想定される進行。

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 このとき△7四角も△5四角もないのでこの飛車先交換が成立するというのが▲3八金のねらい。一応この手は後手KKSのときもあったが、このケースでは▲7七銀が入っている分この銀の出足が早いのでより有力になっている可能性がある。

 ここからは△6四歩と収めるか、8四歩保留型を生かして△6二飛とするのが主な候補手。まあ難しい将棋だが、先手の囲いが金美濃に限定されたことをどう見るか。居飛車は△3三銀~△4四銀と繰り出して振り飛車の左銀の中央進出に対抗してくるのが有力そうだ。先手がどう打開するかという将棋になることが想定される。

 

 同様の狙いを後手振り飛車のときにやるとどうだろう。以下がその局面。

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 さらに同様に手を進めるとこうなる。

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 この局面をどう評価するべきか。さっき振り飛車先手の場合の似た図をのせたが、それと比べ振り飛車一手遅くなっており、かわりに後手番なので打開の義務はない。先の記事を執筆した時点では振り飛車が美濃に組めないのは不満と思い特にこの手順に関して言及しなかったが、最近になって、もしかすると角交換振り飛車には美濃囲い以外の囲いにも可能性があるかもしれない、と考えを改めたので紹介した次第。とはいえ美濃囲いの人気は高いため、喜んでこの後手を持ちたい人がどれだけいるかは疑問な気もするが。

 

  なんか大したこと書いていないような気もするが、ひとまずこれで記事を終える。

KKS小ネタ① elmoもyaselmoもだまされた?飛車先交換の誘惑

 書くネタが特に思いつかないので、取るに足らない程度のKKSの小ネタを書いてみる。タイトルに①とあるけど②以降に続くかは分からない・・・。

 

 

<5月某日のぼく>

 先日のwcsc27の結果は衝撃的だった。まさか新顔のelmoが王者ponanzaを破って優勝するとは。しかもそのelmoの評価関数が公開されたのはコンピュータ将棋ファンとしては嬉しい限りである。早速導入してみよう。

 公開されているのは評価関数だけである。つまり何か別に探索部が必要と言うことだ。いまある探索部として優秀なものは魔女かやねうら王か・・・とりあえず魔女にしてみよう。

 さて、導入も済んだのでこれで研究でもしてみるか。検討モードで魔女elmoを起動してみる。とりあえずどんな局面を調べようかな・・・(適当に手順を入力していく)。

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 とりあえずここを課題局面にしようかな。評価値や候補手はどんなものだろう。

 うわー、先手+300点ぐらいになっている。すでに作戦負けレベルではないか。だいぶ振り飛車に辛いなあ。浮かむ瀬の時も結構辛いと思ったけれど、elmoはそれ以上にひどい。強いソフトになる毎に振り飛車の評価値が落ちているあたり、やはり振り飛車は不利飛車なのか・・・。

 ところで、評価値はどんなものだろう。

 

深さ 19/31 ノード数 2727332 評価値 205 読み筋 ▲5八金(49) △3三角(22) ▲同 角成(88) △同 桂(21) ▲9六歩(97) △9四歩(93) ▲8八銀(79) △2二飛(42) ▲4六歩(47) △4二銀(31) ▲6八金(58) △2一飛(22) ▲4七銀(48) △5四歩(53) ▲7七銀(88) △3二金(41) ▲8八玉(78) △1四歩(13) ▲7九金(69) △5一飛(21) ▲6六歩(67) △8四歩(83) ▲2四歩(25) △同 歩(23) ▲同 飛(28) △5五歩(54) ▲2八飛(24)

 

深さ 19/31 ノード数 2727332 評価値 210 読み筋 ▲9六歩(97) △3三角(22) ▲同 角成(88) △同 桂(21) ▲8八銀(79) △2二飛(42) ▲7七銀(88) △4二銀(31) ▲5八金(49) △9四歩(93) ▲4六歩(47) △3二金(41) ▲6八金(58) △2一飛(22) ▲4七銀(48) △5四歩(53) ▲8八玉(78) △5一飛(21) ▲6六歩(67) △5三銀(42) ▲7九金(69) △4四銀(53) ▲5八銀(47) △6四歩(63)

 

 ▲9六歩と▲5八金か。まあそんなもんか。ん?もう一つの候補手・・・

 

深さ 19/31 ノード数 2727332 評価値 284 読み筋 ▲2四歩(25) △8八角成(22) ▲同 銀(79) △2四歩(23) ▲同 飛(28) △2二飛(42) ▲2三歩打 △5二飛(22) ▲9六歩(97) △3二金(41) ▲3六歩(37) △5四歩(53) ▲7七銀(88) △3三桂(21) ▲3七桂(29) △9四歩(93) ▲5八金(49) △5五歩(54) ▲4六歩(47) △5六歩(55) ▲同 歩(57) △同 飛(52) ▲2五桂(37) △1五角打

 ん?

 ▲2四歩!?

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 ここで?しかもこの手の評価値が一番高いだと!?まさか、こんな手で角交換四間飛車は潰れているというのか。これで振り飛車ダメならば非常にまずい。戦法の根幹に関わる。恐るべしelmo、既に一つの戦法をあっさりと抹消しようというのか。

 まあ、ひとまず読み筋どおりに進めてみよう。

▲2四歩△同歩▲同飛△8八角成▲同銀▲2二飛△2三歩。

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 まあ妥当な進行だ。ここで魔女elmoの候補手は△4二飛と△5二飛だ。それで評価値が先手300点ぐらいになる。

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このあと後手は△3二金としてバランスを取ろうとするが、そうなると2三歩のくさびが痛い。△4二銀とは上がれないので△2四歩とふたをして△2三金と歩を取りに行くこともできない。これとは違う展開で▲2四歩と△2二歩の形に収まる変化もあるがそれとは話が違う。それは3三銀型で△4四飛~△2四飛とか△42角~△2四銀と歩を払う楽しみがある。

 というわけでそうなるなら居飛車はっきり作戦勝ちだが、一般的にはここで△1二飛とするのが定跡である。それで振り飛車何か悪いのか。この局面、MultiPVが2だと△1二飛は候補手にすらでてこないが・・・。

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  この局面を検討させてみると・・・

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 悲惨である。この局面そんなに後手が悪いのか?

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 仮に先手▲5八金右だとして(上図)、次の読み筋は?

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 輪を掛けて悲惨なことになっている。

 しかし、この局面は後手△3二金とするのが定跡の教え。次に△2二歩▲同歩成△同飛として飛車交換を持ちかけて後手十分というのが定説のはず。その△3二金が4番手にすら入らないとは何事だ?

 と思っていたら。

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 あれ?

 以下△3二金▲2八飛△2二歩▲同歩成△同飛。読み筋通り、かつ定跡通りの手順で下図。

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  この進行で評価値-200。更に評価値を下げる形で反省した。試しに21手目の局面で▲5八金右以外の手を選んでも、以下同じように進めて似たような評価にいきついてしまう。

 ・・・あれ?

 elmoってこんなもん?

 Ponanza Chainerを破った強さがこれ?

 

 

 

 

<茶番終わり>

 実は、elmoというものはある程度長い思考時間(正確にはノード数か)を与えないとあまり強くならないという困った特性持ちなのだ。上に示した評価値や候補手などは、探索深さを明記した通り多くが大した考慮時間が無い条件下だった。よってまともな時間を与えさえすれば上のような悲惨なひどいハマリを食らうわけではないようだ。

 ただし、一番上の基本図で▲2四歩という手は、深く読ませてもそこそこ高い評価のままになる。他の手のほうが評価値が高くなるので実際に▲2四歩とすることはほとんどありえないが、それでも200点ぐらいの評価にはなってしまう。上では5月当時の私の環境に合わせるため魔女elmoを使用しているが、試しにやねうら王4.74+elmoで検討してもおなじような感じになった。なので、SILENT_MAJORITYの探索部の問題でもなさそうだ。

 

 評価関数を変えて軽く調べてみたが、Qhapaqやeloqhappa、読み太、nozomiもelmoほどではないが▲2四歩をそこそこ評価しており、そのあとの△1二飛~△3二金が見えていない。rezeroやmafu、relmo、mafuta3、さらには今現在最強とされているyaselmoにしても同様。たぬきだけが▲2四歩をまるで評価しておらず、評価値を大きく下げていたが、その後の△1二飛~△3二金は読んでいない。そのたぬきと並んで最も優秀っぽかったのは技巧2で、▲2四歩を大して評価せず、さらに△1二飛~△3二金を最もスムーズに読んだ。wcsc27で唯一elmoに土をつけた技巧がelmoの欠陥をあっさり乗り越えているのが感慨深い。

 これだけ評価関数を変えても、暫定最強のyaselmoを含めほとんどのひと達がハマってしまうあたりをみると、これは探索部の問題なのだろうか?やねうら系とは違うシステムを持つ技巧2がハマっていないのがこの仮説をなんとなくそれっぽくしている感じだ。

 

 評価値だけで局面を判断しようとすると、レート3900ほど(※1)もある魔女elmoはおろか、4100ぐらい(※2)のyaselmoですらこのようなことが起こりうる。局面局面での評価値だけ(浅い探索ならばなおさら)を眺めて一喜一憂する前に、その先の展開もしっかり調べないと痛い目をみるよ、ということを示す一例だった。

 

※1・2  http://www.uuunuuun.com/english

高校選手権を観戦してきたよ&雑感

 宮城県白石市で行なわれた将棋の全国高校選手権大会を観戦しに行ってみた。

 とくに応援すべき特定の学校や選手もいなかったので適当にぶらついてみた。感じたことは、この大会の雰囲気はやっぱり独特だと言うこと。とくに団体戦の雰囲気は他の大会ではあまりみられないものだ。

 自分は将棋を指しつつも、他のチームメイトの経過が気になる。

 普通なら心が折れるような将棋も、仲間が居るが故に簡単には投げられない。

 そんな特別な重みのある、また強烈に仲間の思いが課せられる将棋というものは他にはそうそうない。対局者の気持ちがはた目で眺めているだけのこちらにまで伝わってくる。現地に行ったことがなければ分からない感覚だろう。いい刺激を受けたし私の将棋のモチベーション増進にもなったので、それだけでも観に行った価値があったと思う。

 

 ところで、大会の対局をながめてみてどんな戦型が多いのかをざっと確かめてみた。ちゃんと数えたわけでも全ての対局を調べたわけでも無いしただの印象だが、案外ソフトの影響が感じられる戦型選択が少なかったような気がする。居角左美濃や角換わりのpona流、ツノ銀雁木、ノーマル振り飛車対居飛穴で振り飛車が右玉風に構える形などそれなりにはみられたが、従来型の将棋がまだまだ多い感じだ。最近はやり出したばかりの付け焼き刃的な作戦を採るよりもこれまで指し慣れたものを指した方がオッズが良いということだろうか。

 歴史的にみて、プロなどの戦型のトレンドがアマ有段者ぐらいの層にまで完全に浸透するまでには若干のラグがあるので、いまはその過渡期といったところだと思われる。だとしたら、もう少しの期間をおけばソフト色がもっと濃くなっていくのだろうか。そんなものといってしまえばそんなものだが、高校生ぐらいの年齢の将棋プレイヤーの間でもソフトを使用した勉強法が必修みたいになるのは何だかなという気もする。ソフトを使ってはならないという気は毛頭ないが(自分も使ってるし)、それが義務みたいな風にされるのはなにか違和感を感じる。

 なんて、ソフトに関する解説とかの記事をいくつも書いてる私が言えたことではないような気がする。まあそもそも、私レベルの人が何をどうほざいても何にもなるまい。

KKSからの手づくり・仕掛けの方法を雑にまとめてみた

 

 次からはもっとちゃんと体系化したい。

 

 

①逆棒銀からの動き

 角交換四間飛車からの仕掛けとして最も代表的なのは逆棒銀だろう。特に対策がまだ確立されていない黎明期はこの攻めが決まるケースが多かった。が、居飛車が少し気を払えば簡単にこれを阻止できるとわかった今では逆棒銀の攻めは有段者以上のレベルの棋譜ではあまり見受けられない。

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 これは逆棒銀成立のための諸条件がもろもろ満たされているため成功形となった図。▲4六歩も▲3六歩も突いていないため▲3六銀や▲3七桂ができず銀の突進が受からない。さらに▲5六歩も突いてしまっているため▲5六角の返しもないのも好都合。

 

②3(7)筋からの動き

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 逆棒銀と並んでメジャーなのは△4四銀(▲6六銀)とでて3(7)筋の歩交換を狙う形。ここの歩を持てばどこかで歩を使った小技が効いたり、3筋が軽くなったことにより新たな攻め筋が生じたりするなどの利点がある。

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 上の二図はいずれも居飛車に歩を使った受けを強要させ、自分だけ一歩もって好形を築こうという動き。振り飛車は左金の動きを保留していることもポイント。

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 居飛車が無理に頑張ろうとすると、このように完全に押さえ込むことも可能。

 

四間飛車の形からの動き

 上二つは向かい飛車に振り直した形が前提の動きなので、ダイレクト向かい飛車など角交換振り飛車全般に共通で使える技である。次は角交換「四間飛車」ならではの四間飛車からの動きをみてみる。

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 角交換四間に対して▲4七銀(△6三銀)型を組むのは非常に有力な形。それに反発する意味でこの筋の歩交換をしにいくのは是非狙ってみたい筋。ただし角打ちや右四間振り直しなどの居飛車の反発には注意。

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 歩交換の後は上のように左銀を棒銀の要領で繰り出していくのが有力。居飛車の受けが漫然としていればあっという間に突破できる攻撃力抜群の攻めだ。

 

 ほかには△3二金型+腰掛け銀型の角交換振り飛車も存在する。この形のメリットは常に△4五歩の仕掛けを狙っていること。この仕掛けのハードルは結構低く、意外なほど簡単に成立することがある。

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  これに対して、棋理に明るい人なら下図のように対抗してくるかもしれない。

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 角のラインで7八金を狙ってピンすることで振り飛車の仕掛けをブロックしようというもの。嫌みなようだが、それでも先手は仕掛けていくことができる。

▲6五歩△同歩▲7九金。

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 この金引きでタゲを外して居飛車の角の働きを下げ、それに伴って6筋も軽くすることができる。

 

④筋違い角による打開

 手持ちの角を手放す代わりに一歩をもぎ取りにいく筋違い角の手筋。ふつうは中々うまくいかないが、居飛車の形によっては成立する。

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 上4つの図の共通点は、居飛車の右辺の3六ないし7四の歩を狙いにいっていること。一応歩の両取りではあるが、振り飛車側は7六(3四)の歩を取りに行くつもりはあまりないのである。右辺の方の歩を取ることで角のラインを飛車先まで直通させ、手にした一歩とともに桂頭攻め、もしくは2(8)筋方面での手作りをしにいくのが真の狙い。居飛車はわかっていてもこれを防ぐ気の利いた受けがない。持ち駒の角を使って受けるなら、それこそもう片方の歩を取っておいて歩得+角の働きの差で振り飛車満足。

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 同じ理屈で、上の△1四角という手もある。やはり3六歩取りが受けにくい。▲1八角などなら△3五歩だ。

※KKS×筋違い角に関する内容は以下の記事にもある。

negishiroom.hatenablog.com

 

⑤▲4七銀・△6三銀型vs△6四角・▲4六角

 角交換振り飛車対策の万能薬である腰掛け銀型。これに真っ向から立ち向かうには、囲い合って持久戦にするか、積極的に打開しに行くかのどちらかを選ぶことになる。前者は中終盤型のひとが自分のテリトリーに引きずり込むために用いる印象が強い。勝負としては大いに有力だが、序盤戦術という意味では厳密には苦しいのではないか、というのが筆者の個人的な印象。

  後者の具体的な手段として、角を打って飛車のコビンを狙いに行くというものがある。うまくいけば居飛車の張った網を根こそぎ喰いちぎることが出来る。

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居飛車側が、

①▲3六歩(△74歩)を突いている

②右金を5八(5二)に上がっている

③飛車が2八(8二)

といった条件が揃っていれば成立する可能性がある。

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 片銀冠に組めれば角の頭を歩や銀で狙われるリスクも下がる。

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 偏った陣形相手にもこの角打ちがある。上図以下、▲3七角△同角成▲同桂△6四角▲2六角△4六歩で下図。

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 後手を持って十分な形勢だろう。

Twitterはじめました

 

twitter.com

 

 とりあえずはここの更新の報告とかするつもりです。

【コンピュータ将棋】やねうら王の使い方について

※7/24追記:後で気づいたが、以下とほとんど同じ内容が本家様の記事↓にそっくりそのまま解説されていたようである。筆者はそれに全く気づかないままこれを執筆した。そのため、驚くほど共通項が多い内容となってしまっている・・・。反省します。

やねうら王 セットアップ質問スレッド | やねうら王 公式サイト


 

 

 今回は現在の将棋ソフトの探索部として最もスタンダードな存在となっている、やねうら王を利用するときの注意事項について書こうと思う。これを用いるのがいまのコンピュータ将棋の主流なのだが、その細かい使用方法にはあまり知られていない点が結構あるのが気になる。知らないまま使っていたというユーザーは少なくないと思うので、以下にやねうら王特有の要点をまとめてみる。

 

①バージョンアップの更新

 やねうら王の探索部は、最近(ここ数ヶ月)かなり頻繁にバージョンアップされている。WCSC27でelmoらが探索部としてマージしていたやねうら王のバージョンが4.41だが、今(執筆時=7/22)の最新版は既に4.74となっている。新しい版のほうが新機能が追加されていたりするなどお得な点が多いので、もししばらく前のやねうら王のままになっているという方は以下のURLからダウンロードし導入することをおすすめする。また、たまに更新されているかどうか確かめておくと良い。

https://github.com/yaneurao/YaneuraOu/releases

 

②検討用PV出力の設定

 検討モードを使ってソフトの候補手や読み筋を調べるという使い方をする人は多い。ただし、やねうら王で検討させると一つ困った現象が発生することがある。時々読み筋が一手しか表示されなくなるのだ。ある程度深く読ませるとこの状態に陥りやすく、候補手の先の展開を知りたいときに少々困ることとなる。そのため、一時期は「探索部の性能はやねうら王が魔女(SILENT_MAJORITY)よりも上だが、検討用としては魔女の方が都合が良い」という見解が多かった。

 ただし、その後やねうら王が改良され、ConsiderationMode(検討モード)という機能が追加された。検討や解析の際に、設定からこれにチェックを入れる(Trueにする)と上のようなPV出力の問題が改善される。対局時にこれを入れるのは好ましくない(はず)なので、同じソフトでも対局用と検討用のエンジンを2種類以上同時に登録しておくのもよいかもしれない。

③設定項目の日本語化

 「YaneuraOu-2017-early.exe」といったやねうら王の実行ファイルと同じ場所に、同封の「YaneuraOu-2017-early_ja.txt」というテキストファイルを置いておくと、将棋所でこれの設定画面を開いたときに設定項目が日本語で表示されるようになり分かりやすくなる。

④エンジン名の偽装

 いまの将棋ソフトはやねうら王の探索部にelmo、Qhapaqなどの評価関数をのせるという形態を取っている。このソフトを登録するとき、GUI側のエンジン名にはYaneuraOuなどと探索部の名称が表示される。当然elmoなどとは表示されない。これに違和感を覚えるとか、elmoなどと表示させたいという方は、一手間を加えればそれが可能である。

 やねうら王の実行ファイルと同じ場所に、「engine_name.txt」というテキストファイルを置く。そのテキストの1行目に変更したい名前を入力する。この状態でエンジン登録するとその名前をGUI側にエンジン名として偽装させることが出来る。ちなみにテキストの2行目に入力した内容はソフトの作者として認識される。

 ShogiGUIの場合、もっと簡単な方法がある。エンジン設定画面を開くと、上の方に「エンジン名」という項目がでてくるので、そこに任意の名前を入力すると変更できる。

⑤NetworkDelayを0にする

 やねうら王にはNetworkDelayとNetworkDelay2という通信遅延対策用の設定がある。遅延を見越して指定の持ち時間より少し早く指させる機能なのだが、ローカルでCOMvsCOM(COMvs人)の対局を行なう場合この設定が邪魔となる。floodgateへの放流をする人以外はこの二つは0にしておくべきだろう。

⑥EvalShareを切る

 少し古いやねうら王だとこの値がデフォルトでTrueになっている。評価関数が勝手に共有されてしまうため、異なる評価関数同士で自己対局させる場合これのせいで致命的な結果を招くことになる恐れがある。Falseにするか、①のように最新のやねうら王を導入すると良い(最新版だとこれがデフォルトで切ってある)。

⑦ComtemptFromBlack(引き分け時スコアを先手から見た値とみなす)

 「Comtempt」(引き分け時スコア)は千日手等になったときの評価値。例えばこれを100とすると引き分けになる手や手順の評価値を100と判定する。これに相当する機能は他のソフトにもあるが、ほとんどのソフトは自分の先後に関わらず自分側からみた評価値としか判定しない。つまり先手だからこの局面では千日手では不満だとか、後手番だから十分だとかいう判断をしないし、させられない。コンピュータ将棋の舞台では引き分けは0.5勝0.5敗扱いされることが多いのでこのような判断でも支障は少ないのだが、人間のプレーヤー的にはそういうわけにもいかない。

 そこで「ComtemptFromBlack」という機能がある。これを入れるとComtemptの値を先手側からみた評価値とみさせることができる。ComtemptFromBlackをいれたうえでComtemptを-70ぐらい(初形の後手番からみた評価値)にすれば人間的な感覚に近くなるような気がする。

⑧EvalDir(評価関数格納フォルダ)

 EvalDirとは使用する評価関数のパス(位置)を指定するものである。デフォルトでevalとなっており、実際実行ファイルと同じ場所にevalフォルダを置きそのなかに評価関数を入れるというファイルの配置をとっている人が多そうだ。

 evalという名前だとわかりにくいし複数のソフトを導入するとフォルダ構造が煩雑になる、とみるならば、例えば実行ファイルと同じ場所で、\elmoというフォルダにelmo評価関数を置き、\reimoにrelmoを置き、\mafuにmafu評価関数を・・・という構造をとることは考えられる。その場合、同じやねうら王の実行ファイルを複数エンジン登録してそのそれぞれの設定をEvalDir = elmo などにいじることになる。

 やねうら王に限らずApery系ややねうら系全般に使える技である。将棋所だと同じ実行ファイルは一つしか登録できないので結局複数のエンジンをおくことになるが。

⑨ResignValue(投了スコア)

 ResignValueは、評価値が指定した値×(-1)を下回ると自動的に投了させることが出来る機能。デフォルトは99999とかになっているので詰まさない限り投了しない。これを使うと、例えば課題局面からソフト同士で連続対局で指し継がせて評価値が閾値を超えたら投げさせる、ということができる。詰みまでやらせるより早く終わるし、総手数が閾値を超えたら引き分けにするのと比べても勝敗という明確な対局結果が出るぶんデータの処理がしやすく好都合となる。

 なお、同様の機能は技巧2などにも備わっている。